ホールセンサの周波数特性実測(A1324LUA-T)

概要

秋月電子で売っているホールセンサA1324LUA-Tの周波数特性を実測してみました。

測定回路

AnalogDiscovery2を使用して測定しました。

家にあった220uHのコイルを使用して磁界を発生させホールセンサに入力し、ホールセンサの出力信号を観測することで周波数特性を測定しました。

磁界を発生させるためのコイルは磁路がオープンになっているタイプ(トロイダル形状ではないもの)を使用する必要があります。

今回はNRシリーズの220uHのもの(https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-08326/)を使用しました。

ホールセンサを動作させるための電圧は5Vです。この電圧はAnalogDiscovery2から供給しました。

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測定回路写真

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測定回路図

注意点

今回測定するホールセンサは2.5Vを中心として信号が出力されます。つまり、何も信号入力がないときは2.5Vが出力されます。

このため、AnalogDiscovery2で測定を行う際にはNetworkAnalyzer機能の調整が必要です。

まず、AnalogDiscovery2の波形出力機能で適当な信号(2V,10kHz,サイン波)を出力します。この状態で波形が見えるようにCH2のオフセットとレンジを調整します。

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オシロスコープ機能でオフセットとレンジを確認する

上記手順で確認したオフセットとレンジをAnalogDiscovery2のネットワークアナライザ機能の画面で設定します。

上記手順で確認した値を下図のようにCH2側に設定します。

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ネットワークアナライザ機能のオフセット設定

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ネットワークアナライザ機能のレンジ設定

測定結果

測定結果を下記に示します。

-3dBになる周波数は約15kHzでした。データシートを見るとカットオフ周波数は17kHzなので、データシート通りの測定結果が得られました。

位相特性を見ると-3dBの時点で106°も遅れています。通常の一次遅れ特性(-3dB周波数で45°の遅れ)と比較するととても大きな位相遅れです。

 

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測定結果

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ホールセンサA1324LUA-Tのデータシート

考察

今回測定された大きな位相遅れはもしかしたら測定に使用しているコイルの磁性体の周波数特性が見えている可能性もあります。空芯コイルを使用して再測定して見る必要があるかも知れません。

もしこの位相遅れが本当に存在しているのであれば、この位相遅れの大きさは電流センサとして組むときには気をつけたほうが良さそうです。